私が川上と話をした後、兼松とユさんによって“もう一つの打合せ”がなされていた。
ユさんは、正式にはうちの社員というわけではなかったが、これまで起こった様々なドタバタの中で、旦那である川上の仕事を助けるべく、前線に立って様々な協力をしてくれていたのである。
彼女は非常に優秀で、川上の指導の下で簡単な木工作業などもこなすが、工場全体を俯瞰する目を持っていたことから、川上が苦手としていた管理業務のフォローもお願いしていた。
実際に、彼女が管理業務に携わる中で、工場の進捗や在庫の管理などは随分とクリアになった。
先述した、業務最適化のための工場レイアウトの変更なども、川上と彼女のアイデアによるものだ。
今回の兼松との打合せは、今後の業務改善を進めるために、彼女とも現状の認識の共有をすべきということで執り行われたものだったが、この打合せを経て、兼松から少し気になる報告が私の元に届けられた。
簡単に言えば、現状起こっている問題への認識は同じだが、改善案の方向性については意見が噛み合わないというものだった。
どのような点で意見が合わないのかが気になったので、私もユさんに連絡を取り、直接話を聞いてみる事にした。
実際に話をしてみてわかった事として、彼女自身、非常に親身になって工場の事を考えているようで、様々な独自の考えを持っている事が印象的だった。
そうした思いは非常に嬉しい事でもあるし、素直にありがたい事ではある。
しかし、彼女の話の中でどうしても気になった事が二つあった。
まず一つめとして、今回の面談は元々は川上とデニーさんのコミュニケーションの問題に端を発する話であったのだが、コミュニケーションが上手くいかない要因として、“通訳が良くない”という主張があったのだ。
良くないというと語弊があるが、より業務に関する専門用語を理解できる通訳が必要だという事だ。
また、兼松に対しても、悪くは決して言わないが、工場という現場に常駐しているわけではなく、そもそも工場で働いた経験がないのだから、正しい改善案を考えるのは難しいのではないか?という事だった。
まぁ、その意見は兼松に対してというだけでなく、当然に“同じく現場にいない私”にも向けられた言葉なのだろうと受け止めさせてもらった。
彼女の意見に対する私の思いは故あって後述する事にするので、ここでは割愛するが、私は、一通り彼女の意見を聞いた上で、私なりの意見を忌憚なく言わせてもらう事にした。
私は彼女の仕事(能力)を買っていたので、どうしても理解してもらいたいと言う気持ちもあり、川上に話したのと同様の話を、彼女にも“同等に”伝える事にしたのだ。
彼女との対談は一時間近くにも及んだが、特に揉めるような事もなく、私の話に一定の理解を示してくれたものとその時は実感していた。
しかし、この時の談話が後にとんでもない事態を巻き起こす事となるのだ。
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