川上が工房で大量のウクレレを相手に奮闘していた丁度その頃、兼松の方は工場物件の選定に奔走していた。
候補物件と言えば、まずは前回のベトナムツアー時に視察し、候補に挙がった建設中の物件があったが、兼松が数日後に経過を確認しに行ったところ、“それなり”に順調に施工が進んでいるという事であった。
もちろん、オーナーが言うところの“二週間で完成”というのは、それでも無理がある予定だとは思ったが、客観的に見て完成に迫っているというのであれば、いよいよ有力な候補に格上げされたとも言える。
しかし、前回のツアーだけでは完全にココと決め切るには比較情報が足りなさ過ぎると判断した私は、兼松に改めて物件候補のリストアップを依頼し、再び“物件視察”を主題とした訪越を行うことにしていたのだ。
今度の旅は私と東映エージェンシーの竹内さん(常務)との二人で赴く事となった。
これまでの“波乱万丈な経緯”は当然に彼とも共有していたので、パートナーとして一度現状を確認したかったという事と、“老婆心”かもしれないが、年配である自分が現場を見れば何か協力できる事があるかもしれないと、同行を申し出てくれたのである。
現地でのスケジュールはかなりハードだったので、少々心配な面もあったが、竹内さんは“趣味が海外旅行”と旅慣れている事もあり、遠慮なくこちらからも同行をお願いさせてもらう事にしたのだった。
この旅では、新たにいくつかの工場候補を巡る事となったのだが、その中でも特に紹介したいのは、ロンアン省にある「ロンハウ工業団地」だ。
工業団地というのは、戸建て型や最近ではビル型の工場が立ち並ぶ、主に外資系向けに設けられた工場エリアである。
大袈裟に言う訳ではなく、まさに“街一つが丸々工場エリア”といった感じで、中にはコンビニやレストランなどもありとても便利だ。
入り口には立派なゲートがあり、まるで大型リゾートホテルの様な南国感のあるカートに乗って敷地全体を回ったのだが、とにかく全体の整備が行き届いており、当然に管理体制も素晴らしかった。
エリア全体がまさに“工業特区”という出で立ちで面白い。
我々が見学したのはビル型の工場で、150㎡〜200㎡の物件である。
本来は300㎡以上の物件が望ましかったが、こうした環境の整った専用エリアはやはり賃料も高めで、我々が想定していた予算では、それ位の面積が限界だったのだ。
肝心の工場だが、こちらは先述の通り、どでかいビルに様々な面積や間取りの工場が詰まっている感じで、ビルの中に工場があるというのは見た事がなかったので、とても斬新で新鮮な感じだった。もちろん、これまで見たどの工場よりも立派というか、近代的に整っている。
ここであれば、騒音やセキュリティなどあらゆる環境的な問題も起こらず、とても快適に安心して工場の運営が行えるのは間違いなかった。
しかし、視察を終えた竹内さんが何気なく一言こぼしたのは、「ここは素晴らしいけど、ちょっと違うなぁ。」という事だった。
実は私も同様に感じていた。
何故なら、この物件の前に、建設中の(例のあの)物件に足を運んでいたからである。
次回
\ R A N K I N G /
ブログランキング参加中!
よろしければ下記2つのボタンをクリックしてください!当ブログに1票投票されます。