一通りの工場巡りが終わり、ホテルにてセミオーダーチームと合流すると、参加者一同は何故か全員、悶々とした“悩ましい表情”をしていた。
何かトラブルがあったのではないかと気になって聞いてみると、何と全員がセミオーダーの仕様に悩んでおり、まだ仕様が決定していないのだと言う。
川上とのやり取りに何か問題があったのではないかと一瞬心配に思ったが、どうやらその逆で、仕様に関しては、かなり詳細な説明を丁寧に受ける事ができたようだ。
しかし、川上が語る様々な木材の特性や細かな仕様のポイントを聞いていく中で、全員が、まずは一度落ち着いて、ゆっくりと頭を整理する時間が必要となったのだそうだ。
明日の最終日までには全員が結論を出す予定だと言う。
これは、実に悩ましい“大人の宿題”である。
しかし、他人事だから言う訳ではないが、この“悩ましい時間”こそが、いずれ手元に届く唯一無二となる“自分だけの愛機”の付加価値を何倍にも増す魔法の時間であり、このような経験こそが、後に最高の思い出として語るための最良の肥やしとなるのである。こういうのも、一種の”生みの苦しみ”と言って良いのではないだろうか。
そして、私は悩める参加者一同を本日の晩餐へと誘う事にした。
この日のディナーは“Pendo Lasco(ペンドラスコ)”という名の絶品イタリアンである。
もともとこのレストランは滞在ホテルに程近い一区の中心街にあったのだが、少し前に以前の場所からは車で20分ほど離れた二区の方へ引越したのだ。
ある時、久しぶりにお店に行こうとしたら、店のあった場所が何もなくなっており、まさか辞めてしまったでは?と真剣に落ち込んだのをよく覚えている。
この店は、10年位前に私がホーチミンへ行き始めた頃からの行きつけで、“特にオススメしたい名店”だ。
当時は都会の喧騒の中にある隠れ家的名店というイメージだったが、現在は二区にある雰囲気の良い庭付きヴィラを改築した、とてもお洒落なレストランに生まれ変わっている。
美味しい料理はもちろん健在で、2017年にはピザの世界選手権で優勝したシェフが料理を手がけており、私の記憶が確かなら、世界のピッツェリア100店の中にもノミネートされていたはずである。
もちろん、美味しいのはピザだけには留まらない。驚くほど柔らかくて味わい深い牛肉のカルパッチョや新鮮な生モッツァレラをふんだんに使ったカプレーゼなどもかなりの絶品で、トマトソースやカルボナーラ、ジェノベーゼなどの生パスタもとにかくクオリティーが高い。ちなみに私の一番のお気に入りはポルチーニ茸のリゾットである。
余談だが、このレストランのある二区というエリアは、都心である一区からサイゴン川を挟んだ対岸にあり、西洋人や富裕層が多く住むエリアで、見るからに高級そうな住居やヴィラが立ち並んでいる。
ホーチミンの中でも屈指の洗練されたエリアと言っても過言ではないだろう。
ここでは都会の喧騒から打って変わり、まるで別世界と言っても良いほど、かなり落ち着いた雰囲気が味わえる。
同じホーチミンの中でも、こうしたエリアの違いによって住んでる人種も変わり、街自体がまるで別物であるかのような感じを方々と味わうのも本当に面白いのだ。
そして、この会食には川上も同席していたので、当然にここでもセミオーダーに関する質問がいくつか挙がっていた。
美味しい食事にワインを囲みながらの、ガズさんや川上を交えてのセミオーダー談義は、後に心に残る特別な思い出となる事に違いない。
全員の好奇心、探究心溢れる眼差しと、本当に楽しそうな表情を目の当たりにし、こちらも釣られて思わずワクワクしてしまうのだが、こうした時間もこのツアーのテーマである“特別な体験”を上手く体現できているようで、とても嬉しい気持ちが抱けたのである。
そして、参加者一同は、いよいよこのツアーの最終日を迎える事となった。
#なお、今回のブログの美しい写真はいずれもプロカメラマンの百代さんに提供していただいたものだ。本当に素晴らしい!
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