クラウドファンディングで最も嬉しかった事は、支援者の方々から寄せられた多くのメッセージだった。
ガズさんもスタッフ一同も、もちろん私も、百数十通に及ぶ全てのメッセージに目を通した。
全員がその温かさに感動し、受け取った熱量で更にモチベーションが高まっていた。
後は予定通り、クラウドファンディングのリターンを完璧に遂行するのみである。
国内では、リターンである限定イベントに向けて、ガズさんの準備が始まっていた。
今回のイベントはこれまでの“大合唱”イベントと違い、ガズさんがミュージシャンとしてバンドを組み、カバー曲だけでなく、オリジナル曲も含めたミニLiveも行われる。バンドのメンバー選びから選曲、また曲目の編曲など全てガズさんが一人で行っており、このイベントのために徹底的に練習を積み重ねていたのである。
この限定イベントの詳細はまた後述するのでここでは割愛するが、まさにプロの仕事として着々と本番に向けた準備が進んでいたという事だけお伝えしておこう。
また私もリターンの中でも異色のベトナムツアーの計画を着々と詰めていたが、こちらも後述するので、ここでは割愛させて頂く。
そんな頃、ベトナムでは、リターンのウクレレ製造が本格的に開始されていた。
レギュラーラインである「ガズのわがままウクレレ」はトムさんの工場にて製造され、リターン購入者(支援者)が“特別な素材”や“特別な仕様”などを選べる川上監修の「セミオーダーウクレレ」に関しては、川上自らが製作する事となっていた。
つまり、川上は「セミオーダーウクレレ」を製作しながら、トムさんの工場での製造の品質や進捗を確認していくという2つの仕事を並行する流れとなっていたのである。
さらにこの頃の川上には、もう一つ大事な仕事が増えていた。
遂に、ウクレレ職人志望の“一番弟子”を雇い始めたのである。
最初のスタッフの名は“ヤンさん”と言い、寡黙でとても真面目なタイプである。
彼は手先が器用で、とても真面目だ。ただし、ウクレレ製作に関しては全くの未経験である。
余談だが、ベトナムでは木工が盛んだ。特に木製家具の製作が多い印象である。
他のウクレレ工場の職人の話を聞くと、家具職人からウクレレ職人へのコンバート(転職)というのもよくある話なのだそうだ。
本来であれば、そうした即戦力となるであろう木工経験者を雇うのが定石だったのかもしれないが、川上の考えは少し違っていた。
彼の考えは、キャリアよりも、とにかく“やる気”と“人間性”を優先したいというものだった。
また、変に癖のついた職人よりも、真っさらな方が“川上流”の工法を教えやすいのだという。
私の頭に“思い浮かぶリスク”はあったが、何事も経験という事で、私はその川上の意向を尊重する事にした。
更に同じタイミングで、ウクレレ事業専用の総務兼通訳スタッフとして、“チャムさん”という女性スタッフも加わった。
彼女は明るく、快活な印象で、当面の間はIT事業部から出向していたアンさんの下で働く事となった。
余談だが、この二人の共通点は二人ともウクレレが弾けるという事である。
後にガズさんが工房を訪れた際には、ガズレレ楽譜の中からハイロウズの曲をガズさんに披露していたのだが、それがなかなかの腕前であったことがとても印象的だった。
そういうわけで、彼ら新人の教育と新体制の構築というのが、川上のもう1つの仕事でもあった。
二人の採用に関してだが、結論から言えば、大正解であったと私は思っている。
ヤンさんに関しては、川上の事を師匠としてとても尊敬しており、彼の言う事を実に忠実に、真面目に、そして丁寧にこなしていき、みるみる実力をつけていった。
またチャムさんに関しても、非常に真面目で、とても順調にアンさんから業務を教わり、とにかく一生懸命やっているのが印象的であった。
一見すると、何もかも非常に順調に進んでいる様に見えたが、水面下では、いよいよ不穏な足音が音も立てず忍び寄っていた。
次回、「vol.25 いよいよ訪れる大惨事への序章②」へ続く。
\ R A N K I N G /
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