ツアーの初日、ベトナムに到着し、ホーチミンのタンソニャット空港を出た瞬間、おそらくガズさんも
川上も初めてのベトナムであったから、南国特有の熱気と共に、空港への出迎えでカオスな状況にさぞや驚いたことと思う。
さらに、タクシーで中心街(一区)にあるホテルに向かうタクシーに乗った時、まるでイワシの群れの中を泳ぐ様にバイクの群れに呑まれながらの移動は、一種のアトラクションさながらの感覚に陥ったものと思う。
ホーチミンは大都市であるが、移動の主体は圧倒的に車ではなく、バイクであり、このバイクの群れこそがベトナムの象徴と言っても過言では無い。もっともベトナム人からすれば、それを象徴と呼ぶ事に異議を唱えるかもしれないが、我々の様な外国人にとって、このバイクの群れは相当なインパクトがある。
家族の三人乗り(場合によって四人乗り)は当たり前で、扉や建築資材などの大きな荷物も二人乗りでバイクで器用に運ぶ。スピードこそゆっくりだが、車間距離はスレスレで、大袈裟ではなく実際に、訪越(ベトナム訪問)した際に良くぶつかっているのを見かける。
こうした一見混沌とした日常光景は我々にとって、とても新鮮で刺激的でスリリングであり、ものすごくエネルギッシュでエキサイティングである。まぁ、平たく言えば、見ていて新鮮というか、非常に面白い。一見の価値ありである。
余談だが、私は10年以上前に、IT事業における開発の外注先を探すために、中国やインド、フィリピン、タイ、そしてベトナムなどのアジア諸国を周っていた。つまり、様々な国々を巡った上でベトナムに行き着いたわけだが、その要因は、親日な国民性、仕事における真面目さ、日本と比べて低賃金など様々あるが、一番は、街から人から溢れ出るエネルギーである。
早朝から深夜まで止め処なく続くバイクの群れも、毎夜のように中心街にある広場に大勢が集まり、お祭りさながらに盛り上がる光景も全てがエネルギッシュでもの凄いパワーに満ち溢れ、それを直感的に感じ取ったからである。この膨大なエネルギーを肌で感じながら仕事をすれば、どんな事もきっと上手く行く。根拠は無かったが、何故かそう確信したのである。
更に余談が続くが、この旅の宿泊先は「レックスホテル サイゴン」にした。ホーチミンの中心街には他にもパークハイアットやインターコンチネンタル、シェラトンなど、一流の5つ星ホテルが点在するが、どうせベトナムに来たのであれば、少しでも「ベトナムらしさ」を体感してもらいたいと思ったのと、朝食のクオリティーや周辺環境、そしてコスパの良さを考慮して、今回はこのレックスホテルに決めた。
このホテルは、何と国営であり、いわゆるコロニアル様式のホテルで、ベトナムがまだフランスの植民地であった頃に建てられた歴史あるホテルである。中心街にはこれ以外に、コンチネンタルホテルやホテルマジェスティックなど、様々なコロニアル様式のホテルが存在するが、質や立地、コスパなど色々な要素を考慮すると、初めてのホーチミンに限定するのであれば、私的にはここが一番おすすめである。
特に壁一面に緑が生い茂る中庭の吹き抜けや、朝食を食べる場所でもある、ルーフトップがあり、中心街を見下ろすことの出来るレストランは、朝食のバラエティも豊かで大変おすすめである。(ちなみにガズさんはここの朝食のフォーがお気に入りのようで、毎日食べていた。)
更に付け加えて言うならば、一日1000円程度余分に支払えば利用できるレックススイート以上の部屋は、応接なども整っており、仕事の打合せに使うにも非常に便利である。そして、一歩外に出れば、直ぐ目の前にはホーチミンの象徴的なスポットであるグエン・フエ通りの広場が広がり、情緒たっぷりなオペラハウスや市役所、郵便局、そしてお土産屋さんが立ち並ぶドンコイ通りなど、観光ブックに乗っているホーチミンの主だった観光スポットがかなり纏まっているエリアに所在しており、初めてのベトナムであれば、やはりここが一番おすすめだと私は思っている。
しかし、この視察ツアーでは、残念ながら、そうした観光スポットを巡るような時間的余裕は一切存在しなかったのである。
次回「ここは海賊のアジト?驚愕のベトナムウクレレ工場!?」に続く。