< vol.8 「 歯車が動き出す!視察の果てに得たものは?③ 」
ウクレレを買いに来ただけのつもりが、思わぬ話の展開となった。
しかし、私はその時進行していた”ガズさんとベトナムでウクレレを作る”プロジェクトにおいて最重要課題としていた“ウクレレ製作の専門家の獲得”が、思わぬ形で、それも“たまたま”極めて近くで見つかった事に、少し興奮していた。
プロジェクトに彼が関わってくれれば、世に誇れる最高なウクレレが作れる。そう思えて仕方なかった。
しかし、その前にどうしてもやっておかなければならない事があった。それはガズさんと川上くんの面談である。プロジェクトに彼を加えるには、当然の事だが“ガズさんが川上くんを認める事”が絶対的な条件となる。
言うまでもなく、ガズさんは本物のプロミュージシャンである。実際のところ、Youtube動画の優しそうなイメージからは想像がつかないほど、プロとしてのこだわりが強くて、仕事にも厳しい。まして、自ら手がけるブランドの楽器製作の評価ともなれば、その厳しさは尚のことである。
とはいえ、私にはガズさんが間違いなく彼を気に入るという根拠のない確信があった。だから、一刻も早く二人を引き合わせたいと思った。 私は直ぐにガズさんに連絡をとり、此度の一連の出来事について説明した。ガズさんの反応はとても良好だった。事の全容を聞き終える前から、川上くんをどう使おうか、既に “いつもの” 物凄い妄想が始まっている様だった。
こういう時のガズさんは異常に回転が早い。次から次へ取り止めもなく色々なアイデアが出てくる。どうやら、出会う前から既に化学反応が始まっているらしい。
そして、2、3日も経たない内に、ガズさんが工房KSPを訪れる事となった。
工房を訪れたガズさんは、やはり工房KSPの出で立ちと狭さに驚き、川上くんは生ガズさんを見て、やはりガチガチに緊張している様だった。
そして、ガズさんは、例の奇妙なカタチのウクレレを手に取り試奏を始めた。
川上くんは緊張が極限に達した様な面持ちだ。
一通りの試奏を終えたガズさんは、満足そうな顔で「良いじゃん!」と言った。
彼がベトナム視察隊に加わった瞬間である。
私は彼にベトナム行きの資金を敢えて提供しなかったが、代わりに私用のウクレレを一本注文し、更に客を一人紹介させてもらった。
それから数日後、彼から一本の連絡が入った。今度の視察用に、ガズさんのコンセプトに合ったウクレレのイメージが出来上がったので、それを視察までに何としても間に合わせて作りたいという。だから、私の頼んだウクレレよりも先に作らせて欲しいという話だった。
私はとても嬉しかった。彼がただ製作のプロとしてゲスト同行するのではなく、自発的に視察チームの一員として行動してくれたからだ。私は彼に、私のウクレレの製作分をそのまま試作ウクレレにしてもらって良いと伝えた。
こうして、たった一月あまりしか時間がない中で、彼は見事に最高な試作ウクレレを作り終えた。
それは、まさに寝る間も惜しんで作り上げた傑作であった。
もちろん、ガズさんもこの試作ウクレレには太鼓判を押した。ただ単に素晴らしい音色がするだけでなく、鳴りも素晴らしい。そして、ガズさんがこだわったプレイヤビリティ(弾きやすさ)も見事に実現されている。
余談だが、このウクレレにはヘッドにはGAZZLELEの「G」の文字があしらってあるが、それ以外にもブリッジが独特な形状をしており、これはガズさんがスケッチしたデザインで忠実に再現されている。このブリッジの形状が本当に特徴的で格好良く、ガズさんはもちろん、私もとても気に入っている。
何はともあれ、こうして我々は最高のチームで、最高な準備を整える形で視察ツアーに臨むことができたのである。
> 次回、「歯車が動き出す!視察の果てに得たものは?⑤」 に続く。
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