まず川上くんは、正式にウチの会社の社員となった。ウチの駐在員として、ベトナム入りしてもらう事になったのだ。
社員になったので、以降は川上と呼ぶことにしよう。川上の移住の時期は、約二ヶ月後の2019年1月からに決定した。
とはいえ、そうと決まったところで、川上の移住前にもやる事が盛りだくさんあった。
まず、ベトナムでの生産体制であるが、視察で行ったどの工場に依頼(外注)することになるにせよ、私は最終的にほとんどの工程を内製に切り替える方針で考えていた。そのため、まずは外注体制でスタートしつつ、現地にて検品や手直しなどができる“小さな工房”を設置して、製品の品質を担保する仕組みをつくることに決めた。
この“小さな工房”の役割は品質の担保だけではない。すぐ先の将来を見据え、いち早くベトナム人のスタッフを雇い、”川上品質”のウクレレが製作できるよう、スタッフの技術教育を推進していくという大切な役割があるのだ。
という事で、ベトナムサイドでは、まずは川上の住居と”小さな工房”の物件候補を洗い出す事にした。しかし、この住居探しをするにまず確定させなければならない事があった。それは、外注先の工場の選定である。何故なら、今後の利便性を考えれば、当然外注先の近くに工房を構えるのが一番合理的だからだ。
しかし、この外注先の選定は、実にあっさりと決まった。
大方我々の予想通りではあったが、回収した試作ウクレレの模作の中で、断トツに出来が良かったのは、あのタクシー運転手が紹介してくれた家族経営の工場だった。
敢えて点数で表すならば、川上の製作した試作ウクレレを10点として、その工場の出来は7〜8点というところだった。
ちなみに他の工場はというと、我々が2軒目に訪れた“やり手社長の工場”は3点。1軒目に訪れた“海賊のアジトみたいな工場”は、2点というところだった。実際には川上の用意したスコアボード(評価基準)を用い、様々な項目において詳細を評価しているのだが、敢えて評価しなくてもわかるレベルで、その工場が圧倒的に出来が良かったのである。
ちなみに、この工場のオーナー(工場長)の名前はトムさん(おそらく正確にはトンさんだと思うが、発音が難しく後の川上とのやり取りでトムさんとなった。)という。今後も度々登場するので、以降は“トムさんの工場”と呼ぶ事とする。
そういうわけで、川上はトムさんの工場に比較的近く、日本人などまるでいない“どローカルな住宅街”を新天地として、住居を探す事となったのである。
次回「始まった物件探し。川上くん驚きの豪邸(?)に住む!?」
の前に、「<番外編>もう一つの視察ストーリー」に続く。
\ R A N K I N G /
ブログランキング参加中!
よろしければ下記2つのボタンをクリックしてください!当ブログに1票投票されます。