さて、インターンシップ面接の結果が発表された頃、ベトナムではいよいよ本格的な新工場への移転に向けた動きが始まっていた。
まず工場だが、こちらは“表向き”は順調に工事が進んでいるようだ。
以前の様な、いかにも“つくりかけ”という出で立ちではなくなり、随分と工場らしい佇まいを見せ始めている。
二階にはガラス張りのオフィススペースができ、そこからは工房全体が見下ろせる。一階は工房スペースが広がり、ここにはさらに小さな個室の作業場や塗装ブース、仕上げのための個室などが順次設けられる予定となっていた。
一方、川上工房では、予約販売分の納期に向けた最後の仕上げ作業を何とか「テト(旧正月)」前に終えられるように、ラストスパートを掛けていた。
テト期間に入ってしまうと、ベトナムではスタッフ全員が帰省するなど“完全なお休み状態”となってしまうため、何とかそれまでに作業を終える必要があったのだ。
トムさんの工場から撤退を決めた後も、騒動が尾を引いて大小様々なトラブルが起こり続けた影響で、やはりかなりの遅れが出てしまっていたが、品質を第一に考えて、とにかく手を抜かず、且つ、できる限りの迅速さでリカバリーにあたっていた。
余談だが、「テト」というのはベトナムの旧正月の事だ。毎年1月下旬から2月中旬のどこかで、長期の“正月休み”というものがある。これが、ベトナムにおける最大の長期休暇となる。
日本の正月と異なり、テトは毎年元旦の日付が変わる。
2019年は確か2月5日が元旦で、二月に入ったあたりからテト休みがスタートしたが、2020年は1月25日が元日で、23日くらいからテト休みが始まった。
そしてテト休暇期間は、例年大体10日間前後となる。
普段人通りで賑わっているグエン・フエ通りなども、かなり大掛かりで豪華なイルミネーションが登場し、盛大にこの特別な時節を演出するのだが、この期間はベトナムでは“家族と過ごす”という風習が強く、多くの飲食店は休業となってしまう。そのため、このタイミングにドンピシャでベトナムにいたとしても、やれる事がかなり制限されてしまう恐れがあるのだ。
だから、テトの賑わった雰囲気を味わうのならば、テト休みの”少し前”にベトナム入りする事をオススメする。
テト前に予定されていたウクレレ製作は、川上やスタッフ達の尽力もあり、何とか予定内に作業を終える事ができた。
そして工場の方も、どうにか引越せるレベルまで完成させる事ができた。
これで、いよいよ待ちに待った新工場への移転へと話は進むのだが、この移転直後に、この工場における非常に“重大な問題”が発覚するのである。
そして、その一番の被害者が川上となる事は言うまでもない。
次回
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