会社というのは、まるで“モグラ叩き”のように、課題や問題が常に沸き起こってくるものだ。
ところが、このモグラを一匹ずつ退治する、つまり、一つずつ問題と真摯に向き合って場当たり的にそれらを解決していっても、実は、一向にこのゲームは終わらないのである。
解決の都度、前進できているように思えてしまいがちだが、実は少しも前進できていない事が多いから厄介だ。
そもそも、大抵の場合、問題として上がってくるものは、実は問題そのものではなく、本当の問題が原因で起こる“単なる現象”でしかない事が多い。
例えば慢性的に肩凝りが酷くて困ってる人がいたとして、行きつけの腕の良いマッサージ師にほぐしてもらえば瞬間的には楽になるわけだが、実は肩凝りの本当の原因は、体のどこかに潜んだ別の重大な疾患に起因するものだった、などという話と似ているかもしれない。
この場合、肩凝りというのは、本当の疾患に起因した“単なる現象”に過ぎないわけで、マッサージはあくまで凝り(単なる現象)に対する対症療法でしかないのだ。
これをいくら続けたところで、一瞬楽にはなるものの、根本的な原因が取り除けているわけでないので、結局、何度も繰り返してしまう。
故に、この肩凝りを根本的に直したいのであれば、精密検査などを受けて正確な原因を突き止め、原因疾患への適切な措置を受けた方が良いに決まっているのである。
糖尿病や脳動脈瘤など、肩凝りからはおおよそ想像がつかないような大病が本当の原因であるかもしれず恐ろしいのだが、最も恐ろしいのは、問題の本質に目を向けず、表面的な解決だけで、当事者が往々にして”本当に解決した”と思い込んでしまうという事だ。
特に仕事で起こる問題は、それがどんなに上述の“単なる現象”であったとしても、その解決に直に当たった当事者からしてみれば、真摯に対処すればするほどエネルギーを消費するものだ。
故に、例えそれが”場当たり的な解決”に過ぎなくとも、本当に問題を解決したと錯覚し、そこで満足してしまう事が往往にしてあるのである。
繰り返しとなるが、この”場当たり的な解決”を何度繰り返そうとも、決して本質的な問題の解決とはならない。
目の前に沸き起こった問題に囚われ、それを必死に解決したとしても、本当の問題の解決には至らない事の方が、圧倒的に多いのだ。
故に、「問題の根幹を常に見定める目」を養う事が、非常に重要なのである。
この工場においても、今起こる問題の多くは、言わば”真の問題”を幹とする”枝葉”のようなものだ。
そして幹である”真の問題”の核にあるのは何かと言うと、”川上自身の仕事のあり方”である。
ここで言う仕事とは、ウクレレ職人としての仕事ではなく、管理職として、工場の長としての仕事だ。
故に、先述の通り、まずは川上自身が工場の長としての“明確なビジョン”を持つというのが、彼にとっての喫緊の課題となったのである。
他にもいくつか話した事はあったが、大まかにはこのような感じで、川上との面談は幕を閉じた。
ここまでの話を川上自身は非常に真摯に受け止め、改善を試みるために、自分なりにスタッフとの関係の持ち方や業務の進め方について今一度深く検討し、再度その報告を受けるという流れとなった。
しかし、この時の川上との談話が後に思わぬ波紋を巻き起こす事となり、それを機に、工場をとりまく事態は急変する事となる。
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