川上との話し合いは、先述の通り、まず川上の話を聞く事から始まった。
まず工場全体としては、業務フローや作業環境の改善、また人の教育に関しても川上なりに一生懸命に試行錯誤しており、その結果、以前と比べれば随分と工場としての体をなしてきたという話であり、それは、私が事前に兼松から聞いている報告の通りでもあった。
そして、主題であるデニーさんに関する見解であるが、彼の仕事に対する姿勢や自分(川上)に対する態度から、「安心して仕事を任せるのは難しい」というものだった。
そこで私は、兼松から聞いた“デニーさん談話”について川上に伝えた上で、私の思う所を彼に率直に伝える事にした。
まず、川上がこれまで彼なりに努力してきた事は決して間違いではないし、確実に前進していると認識している事を伝えた。
こんな事は今回の報告を受けるまでもなく、彼がこれまでどれだけ献身的に必死の努力を続けてきたのかは、例え日本とベトナムという遠隔であっても、同志として当然に共有し痛感しているのだ。
その上で、今、工場にある最大の問題について、私の思う所を伝えた。
前段の要点はこんな感じだ。
工場は間違いなく良くなっている。つまり器としての“外観的な完成度”は日増しに上がっている。
しかし、残念だが、その器には目に見えない穴が空いている。
だから、どれだけ水を注いでも、満杯まで貯める事は決して出来ないであろう。
水というのは言うまでもなく“人材”だ。そして、“人材”とはすなわち“人財”なのである。
会社としての”財産”と呼べる”人財”を蓄える事無くして、組織として運営される工場が完成に至る事は決してない。
そして、人財を蓄える方法は二つしかない。
初めから優秀な人財を雇うか、雇った人材を育てるかの二択だ。
しかし、現実的には既に完成された優秀な人財ばかりを雇う事は困難というか不可能で、組織を拡大するのであれば、人材を育てる術(機能)を必ず身につけなければならない。
もっと言えば、優秀な人財の「優秀」という定義も、企業によって当然に違う。
そのため、個々の企業の価値観にぴったりとあった”出来合いの人財”を手に入れるというのは、非常にハードルが高いのだ。
それ故に、「雇った人材」を「優秀な人財」へと育てあげる事は、企業にとって最も大切なミッションなのである。
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