現場と管理というのは、とかく確執が生まれやすいものだ。
何故ならば、現場側にしか分からない世界観や、管理側の俯瞰した目でしか見えないものがあるからだ。
これらは、どちらが優先で価値が高いなどという事はなく、どちらも等しく尊いものだ。
故に、本来であれば、相互相互に敬意を払い合い、敬い合うべきである。
社内で問題が起こった時などは、どちらにも解決に必要なヒントが盛り沢山なので、できる限り協力し合い、お互いのカードを見せ合って、「最高な手札」を作り出すというのがベストなのだ。
しかし、現実はそんなに甘くない。
理屈ではそうあるべきであるとわかっていても、同じ会社の中にあって、相容れない、二つの異なった文化の国が出来上がってしまう様な事が往々にしてあるものなのだ。
だから、優秀な橋渡し、つまり「ブリッジ役」が必要なのである。
今回の課題解決のためにキャスティングされたのは、インターンから現地採用された「淡路」だ。
彼は、今回の課題解決のストーリーにおいて、川上、兼松に並ぶ、「第三の主役」であり、キャリアとしては新人であっても、彼にしか出来ない仕事がある。
以前に映像でもお見せしたが、彼は並外れた力持ちだ。身体能力も高い。製材という作業においてはその力をいかんなく発揮しており、巨木を前に誰よりも上手にチェーンソーを繰る姿はまさに圧巻だ。
そして、今回彼が、生産作業を司る川上と、生産管理を行う兼松との間のブリッジ役に抜擢されたのは、彼のもう一つの長所である「コミュニケーション能力」の高さにある。
今回の課題解決を切っ掛けに、毎日の様に淡路とも連絡を取り合っているが、その際にも度々驚かされる事がある。
例えばある日の夜、所用があり、彼に連絡を取ったところ、何とこれから隣人であるベトナム人達と飲み会にいくところだと言う。
そして、その連絡からしばらく経った頃、Facebookのメッセンジャー宛に、隣人との宴を大いに楽しんでいる彼の写真が送られてきた。
注目すべきは、彼は全然ベトナム語を話せないという事だ。
言葉が通じない中、一体どうやってコミュニケーションをとればそういう流れになるのか、私にも皆目見当はつかないが、素直な感想として、「凄いやつだ」と思ったのである。
彼のコミュニケーションの素晴らしいところは、距離の取り方が絶妙である事だ。上手く表現出来なくて恐縮だが、「近すぎず、遠すぎない」距離感が絶妙だと私は思っている。
一見すると、どこにでも垣根なく入り込んで行ってる様にも見えるが、実は垣根をちゃんと意識して、上手く距離を取りながら入り込めているといった感じなのだ。
だから、現場の川上に対しても、管理の兼松に対しても、絶妙な距離感で接する事ができ、二人からの信頼も厚い。もちろん、社内の全てのベトナム人スタッフとも仲が良い。
そして、何より、存在がエネルギッシュで明るい。
問題を抱える工場内においてもそれは例外でなく、さながらキャンプファイヤーの松明の炎の様に、熱くて明るいのだ。その暖かさに、現場で苦労してきた川上も幾度となく救われてきたはずだ。
だから、彼を「絆の要」となるブリッジ役に抜擢したのである。
次回
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