ある日の夕方、淡路くんより緊急で一本の連絡が入った。彼は差し迫った様子で、私にこう言った。
「川上さんの様子がおかしいんです!」
何事かと思い、詳細を確認してみると、連日の徹夜作業の結果、心身共に弱り果てた川上は意識朦朧としてしまい、数時間毎に、休み休みに作業を続けてはいるものの、休憩用のスペースで遂に力尽きてしまっているというのだ。
川上の仕事はトップである川上自身の判断に依るところだが、これはいけない。
話を聞いた私は、川上と通話を代われるか聞いてみたところ、朦朧とした状態ではあるが、何とか話はできるという事だったので、直接指示を伝える事にした。
話した瞬間にわかった事は、いつもの川上の調子ではない事は間違いないが、疲れ切ってしまい、完全に頭が働いていないといった様子だった。
いろいろな意味で危険な状態だ。
言いたい事は山ほどあったが、このタイミングで言える事は二つしかない。
「今すぐ家に帰って、休みなさい。」だ。
そして、「今がどういうタイミングで、どういう状況だとしても、明日も休みなさい。」だ。
以前にも、夜な夜な根を詰めた作業を繰り返して、大怪我をしてしまったり、取り返しの付かないミスを犯した事があったが、放っておけば、またしても同様な過ちを犯しかねないというのもあるし、たとえこのタイミングで多少まともな話ができたとしても、付け焼き刃に解決できる様な問題ではない以上は、ここでの小言は無駄で不毛な時間にしかならない。
大事な話は、後日、然るべきタイミングで環境を整えて行うべきだ。
然るべきタイミングとは、現在の川上の作業が収束した後だが、それまでに、現状をあらゆる角度から確認し、検証しなくてはならない。
更に言えば、そのタイミングまでに、クリティカルな解決法の糸口くらいは掴んでいなければならない。
私は情報収集のため、改めて淡路くんと、兼松から話を聞く事にした。
次回
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