そしてG-Laboの抱える二つ目の課題だが、これは一つ目の課題に大きく関連した事で、クリティカルパスである「川上にしかできない工程」を、「他の職人スタッフに教育するのが極めて難しい」という事だ。
より正確に言うならば、「教育する環境を作る事自体が難しい」という事である。
そもそもであるが、G-Laboの抱えるこのような課題というか問題点といったものが、どの様に顕在化するかというと、一番顕著に現れるのは「納期ギリギリのタイミング」だ。
というのも、納期直前の「最終的な仕上げ作業」というのが、まさに「川上にしかできない作業」であり、G-Laboにおける最大の「クリティカルパス」であるからだ。
普通に考えれば、「仕上げ作業を他の職人にもちゃんと教えれば良いじゃん!」という話なのだが、仕上げ作業というのは、それまでの長時間、数日間に渡る作業の集大成たる「完成目前の作品」を最終調整する作業に他ならず、万が一にも失敗をしてしまえば、再塗装が必要となったり、最悪はその製品自体がダメになってしまうのだ。
失敗を犯す事のリスクがあまりに高いため、容易に練習をさせ辛いのである。
当然だが、後ろの工程になればなるほど、手間暇かけている時間に比例して、作りかけの製品の価値はどんどん上がっていくのだ。
更に言うならば、納期直前のタイミングなので、万が一失敗があれば、深刻な納期遅れに直結してしまう可能性が高い。
しかし、もちろん、そんな事は言ってられないので、川上は幾度か失敗を恐れながらも、仕上げ作業の教育を行ってきたのだが、その結果は常に失敗で、無惨で悲惨なものに終わってしまったというわけだ。
当然ながら都度、川上が地獄の様なリカバリーに追われた事は言うまでもない。
仕上げの段階の失敗というのは、さしずめ、賽の河原でギリギリまで積み上げた石を、意地の悪い鬼に叩き崩される様なものだ。
故に「仕上げ作業」は、未だ「川上にしかできない作業」の代表格として残ってしまっているというわけだ。
そして、その様な状況が続く中、遂に”事件”が起こる。
次回
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