次に着手した問題は「外注先の目処を立てる」事だ。
我々は基本的に全ての製造工程を内製で賄う事を目指していたが、“未経験者の教育”という課題を抱えながら、いきなり全ての工程を内製で賄うというのは、そもそも非常に難しいし、リスキーでもあると私は判断していた。
外部に依頼する事で、“大幅な期間短縮”に繋がる作業項目は必ずあると確信していたし、それを活用して、納期そのものの問題よりも、色々な思惑から、まずはとにかく内部に少しでも“時間的余裕”を持たせたかったのだ。
納期が変わらない以上は、この“時間的余裕”こそが、“教育マージン”となる。
川上も当然にこの事はわかっていたが、一連のドタバタでなかなか着手できないでいた。
ただ、瞬間的にどれだけ苦しかろうが、こういう“クリティカルなパス”だけは絶対に止めてはダメだ。
もし、もっと前にそうした外注先を見つけられていたら、単純に生産性が上がり、納期に間に合うだけでなく、職人スタッフの教育に割く時間や、精度の高い生産フローの構築に着手できたかもしれないし、何より川上自身の“精神面における負担”をかなりのレベルで軽減する事ができたはずなのである。
私は一部の作業を外注に回す事で、特に川上を、自身の“時間圧迫”という、呪縛とも言うべきストレッサーから少しでも解放してやりたかった。
多少の余裕がなければ、まともな判断はおろか、まともに考える事も、真に集中すべき作業に没頭する事も困難になるからだ。
もちろん背負った荷物の全部を下す事はできないが、これまでギリギリでやってきたのだ。
その3分の1、いや4分の1でも軽くなれば、間違いなく“かなり楽になった”と実感できるはずなのである。
エースが自由に動き回れるわずかな隙を創り出す戦術を考える事が監督しての重要な仕事であり、それこそが、今回の“私の課題”でもあったのだ。
このミッションは、“サプライズ人事”で着手する事とした。
2月末で退職したアンさんに変わり、新たに採用した新米通訳の“リンさん(試用期間中)”と、インターン生の“淡路くん”の新米コンビだ。
本来、外注先候補へのアタックは、川上や兼松に行ってもらうのが本筋ではあるが、私の滞在期間中も納期に向けての作業が断続的に続けられており、川上が現場から離れるロスが痛かったという事と、川上も兼松も私の滞在中に行うべき様々な打合せが山積していたという背景があった。
しかし、それよりも私は本当に“適材適所”だと思って、彼ら新米コンビに行ってもらう事にしたのだ。
今回のターゲットとなった外注業種は、木材の立体加工である。
「3D CNC」という機械を使って木材を立体加工できる業者の“リストアップ”を行い、その業者と“アポイント”を取り、有望な業者に“サンプル製作を依頼する”というのが今回のミッションだったのだが、淡路くんは実は前職で、木工ではなく金属加工ではあるが、この3D CNCに近い機械をよく知っていた。
それに加えて、何よりも私は彼の“国境を越えたコミュニケーション能力の高さ”を評価しており、それがこのミッションでどのように活かされるのかが、とても楽しみだったのである。
彼ならローカル業者と十分に渡り合えるだろうと考えたのだ。
まぁ、そんな事よりも”見ていて面白い”というのが実のところ一番だったかもしれないが。
もちろん、ウクレレ製作を学ぶというインターンシップの本来の主旨とは少し外れてしまうので、一応、本人に頼めるか確認したのだが、答えは聞くまでもなく“YES”だった。
それどころか、興味津々で楽しそうな感じである。
また、新米通訳のリンさんの仕事というのにも興味があった。
アンさんの後釜として採用されたとはいえ、新米通訳なので、当然すぐに同等の仕事は期待できない。
しかし、通訳が大成するかどうかは、実は“仕事への姿勢”で容易に見極める事ができるのだ。
そういうわけで、急遽“フレッシュコンビ”による緊急“お使いミッション”が発令されたのである。
\ R A N K I N G /
ブログランキング参加中!
よろしければ下記2つのボタンをクリックしてください!当ブログに1票投票されます。
いいね!@人気ブログランキング > 社長ブログ【現在5位!】