テト明けにインターン生の淡路くんを迎えた“川上工場”では、一通りの引越し後の整理も終え、また待望のエアコン付きの個室による作業場も完成し、ようやくの平常を迎えようとしていた。
しかし、新工場としての“更なる課題”の数々が、まだまだ盛り沢山あったのである。
まず課題として挙がったのは、“新しい生産フローの構築、”そして“生産性の最大化”である。
トムさんの工場との提携がなくなった今、生産活動のほぼ全てを内製で賄わなければならない。
しかし、内製による“ゼロベースからの大量生産”の明確なフローは、実のところ、まだ完成していなかったのである。
そのため、まずは、これまで外注で賄われていた作業を含め、どこまでの作業が“現状の工場内に備えられた設備”だけで、また“今あるリソース”だけで賄う事ができるのかを確認する事、つまり、“現状の戦力分析”を行う事がこの課題クリアのファーストステップとなったのだ。
現状の戦力が解らなければ、当然にベストなオーダー(生産フロー)を組む事など出来ないというわけだ。
ところが、我々はこの“ファーストステップ”にして早速つまづく事となる。
戦力分析のために必要な情報の最有力なリソースは、もちろん工場長である川上となるのだが、思った以上に現状の把握が出来ていなかったのだ。
しかし、その理由は明白だった。トムさんの工場からの撤退以降のドタバタへの対応で一杯一杯となってしまい、スタッフへの“計画的な教育”はおろか、とにかく“できる事をやらせる”というスタンスで“急場を耐え凌ぐ事”しかできなかったからである。
もちろん、任せた作業はきっちり教育されているのだが、場当たり的な教育のため、”歪に”成長させてしまった感が否めなかったというわけだ。
そのため、誰がどの作業をどれほどできるのかに関して、把握自体が非常に難しい状況となっていた。
また、この時の川上へのヒアリングから、新たな問題として、スタッフの一人である“サンさん”の仕事に問題がある事が判明した。
端的に言えば、「非常にミスが多く、仕事が何一つ任せられない」という事だった。
この一件に関しては、聞いた瞬間から“思うところ”はあったのだが、まずは現状の把握こそが最も肝要だ。
根が深い問題であり、川上やサンさん本人と直接会って話すべきであると私は考えていたが、しかし今とにかく急ぐべきは、“大枠の立て直し”である。
状況が状況だっただけに、無傷ではいられなかった事は仕方がないが、問題なのは、ここからどう立て直すかである。
わがままウクレレの予約販売は引き続き行われていたため、それらの注文分の生産を行いながら並行して状況を改善する必要があり、ハードルはより高いものとなっていた。
つまり、現場を稼働させながら、生産性を維持しながらの、“スタッフ教育の改善”と“生産フローの最適化”の両方を同時に一遍に行う必要があったのだ。
しかも今回は、管理に長け、いつも頼りにしていた兼松も別ソリューションの業務が忙しく、全面的に彼を投入して手を回す事が出来なかったのだ。
そこで、まずは川上にはとにかく“目の前の作業”と、“スタッフへの必要な教育”に集中してもらい、川上の奥さんであるユさんに“現場の目”となってもらい、兼松と連携してもらう事で工場の状況を把握して、改善の目算を立てる事とした。
そして、抜根的な“生産フローの改善”、“教育の改善”を行うために、私は再びホーチミンへと向かう事にしたのだ。
\ R A N K I N G /
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