新たなベテラン木工職人であるカンさんの採用を経て、工場にも良い化学変化が起こり始めていた。
工場では、人の採用を進めるのと並行して、作業の効率化や高品質の均一化を測るため、いくつかの新たな設備(機械)の導入を進めていた。
こうした設備は、職人の作業に合わせてオリジナルで製作してもらったり、似た様な機械の中で、用途たる作業に最もマッチしたものを探し出したりするのだが、これが非常に大変で、骨が折れるのだ。
これまで、作業に適したオリジナル機械の製作や既製品の選定、調整などは川上とロンさんによって行われていたのだが、ここに新たにカンさんが加わる事で、より精度の高いオーダーが可能となった。
また、当初心配されていたカンさんの”不遜な態度”や”ビックマウス”についても、入社後はそうした気配は一切なく、川上の推進するウクレレ製作技術について真摯に指示を受け止めている様で、できる限り早く技術を習得すべく、黙々と作業に打ち込んでいるという事だった。
やはり、そもそも木工のエキスパートであるという事もあり、既に感覚的にわかっている事も多く、非常に習得が早いという事であった。
川上の事を、工場の長としても、また技術の長としてもしっかり認めている様で、一先ずは安心といった感じだ。
今回のカンさんの採用で分かった事は、川上は年配者との相性が非常に良いという事だ。
そもそも自分の仕事について、ある程度の対等性を持って話ができるというのは、とても幸せな事だ。
自分だけの技術(知識、知恵)に従い、自分が全ての責任を背負って選択、決断(判断)し、道を切り開き続けるというのは、非常に困難な茨の道である。
経営者であれば、多かれ少なかれこうしたある種の孤独感を持つ事は当たり前の事で、経営者である内は永遠に付き合い続けなければならない言わば持病の様なものなのだが、川上は純然たる経営者ではないものの、これまで似た様な感覚を持っていたのかもしれない。
しかし、ロンさんに続き、カンさんという新たなベテランが増えた事によって、川上が随分救われているであろう事は、報告の節々からよく伝わってきたのである。
そして、たった数日の中で、工場の雰囲気も随分と落ち着いてきた。
後は、川上がベテラン勢に依存しすぎず、丁度良いバランスが見出せれば良いのだが、これは今後の課題である。
こうして、工場の目指すべき環境も見えてきたところで、更なる優秀な人材を獲得すべく、我々は引き続きの求人活動を行う事にした。
\ R A N K I N G /
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